最近の私は、例えばとても嫌なことがあっても、自分だけで解決することがちょっとだけ増えた気がしている。元より日常生活でムカついたことがあると、すぐ近くにいる誰かさんに聞いてもらったり、SNSに毒吐いたりするタイプなんだけど、で、それが全くなくなった訳じゃないんだけど、嫌なことを誰にも言わないで自分の中で抱えることが、昔よりは少しだけ増えている。そんなこと、さっさと吐き出せばいいのに。そう。それは本当にそうなんだけど、ネガティブなことを口に出して言うこと自体にとても疲れている。
忙しくなってくると徐々にストレスが溜まってきて、じゃあ、なんのために働くの? それって自分の好きなことをするためじゃないの? 好きなことをするために頑張って期日までに仕上げるんだよね? って考えたら、ネタが浮かばなくてどんよりしていたところからちょっとだけ進める気がした。そうやって少しだけ頑張ってひとつ納品できたら少しだけ重荷が取れて、そしてちょうどいい時間から始まるシアターがあったので、FBのお友達がほめていた『ブルックリンでオペラを』を観ることにする。って、前置き長すぎ。
ニューヨーク、ブルックリンに暮らす夫婦、パトリシアとスティーブン。人気精神科医の妻パトリシアは過剰なほど掃除が大好きな潔癖症。一方、著名な現代オペラ作曲家の夫スティーブンは、5年前から1曲も書けないという人生最大のスランプに陥っていた。ある日、妻兼主治医から、精神療法の一環として愛犬と行く当てのない散歩に送り出されたスティーブンは、とあるバーで船長をしているという、何から何までユニークな存在のカトリーナと出会う。彼女に誘われて船に乗り込んでみると、予想だにしない出来事に襲われ!? その想定外の出会いが、やがて夫婦の人生を劇的に変えてゆく──!(公式サイトより)
ちょっと待って、犬の散歩ってそんなに素晴らしい出会いってすぐできるものなの? と、いろんなところにツッコミまくれる本作。確かに予想だにしませんけど犬の散歩は出会い系サイトじゃないってば(笑) なのですが、そこをどうにかロマコメにしてしまっている。そもそもマリサ・トメイ姐さんがご出演というだけでもうそっち系じゃないですか(→どっち? 笑)
ただしそこは1本筋を通していて、スティーブンがカトリーナが抱くイメージを「違う」と言い、カトリーナだってスティーブンの謝罪を「違う」と言い、パトリシアはスティーブンとの生活を「違う」と言い、マグダレナもテレサも自分たちの生活を「違う」と言う。要するに、ああこれって違うよねえってことは、言いましょうよ! というメッセージである。違うと思ったら誰かに助けを求めてもいい。映画のラストの強烈な連携プレーは、ちょっとできすぎなんじゃないのとは思ったけど、それは違うと思いながらだらだらと惰性で時を重ねている私たちへの、痛烈な皮肉なのかもしれない。違うと思ったら行動しなさいよ! そう、まさにそれに尽きるのだ。