東京風のお盆しか知らないので

東京出身で、田舎だとか親戚と言っても埼玉とか神奈川にしか今のところいないので、そもそも帰省するということがまず概念にない。お盆だと言って特別なこともしない。だから帰省ラッシュで大渋滞の高速とか、新幹線の指定席が取れないとかのニュースを見るとちょっと気の毒になってくる。なんだってそんな遠くまで、一家で移動しなくてはいけないのか、道中いろんなことがあるでしょうに大変ですねと思う。

東京のお盆は本当に申し訳程度でしかなかったと記憶している。実家にいた時の話だけど、一応仏壇はあるのでそこに茄子と割り箸で作ったお馬さんを置き、果物かごを供えて、藁を金属の洗面器に入れてそこにマッチで火をつけ、迎え火と送り火を焚いておしまい。本当にこれしかしていなかった。

旦那さんのご実家が地方にあるんですという人と先日話をした時のこと。お子さんが小さいときはそれこそ一家総出で帰省していて、それはそれは大変だったらしい。そりゃそうですよね。道中子どもが飽きて泣く、わめく、帰りたいとか言い出す、そんなことばっかりだと思うし。それでも盆と暮れくらいは故郷に帰りたい、親の顔が見たい、子どもの成長を見せてやりたいという気持ちの方が上回るからじゃないだろうか。

共に80代になった両親は健在で、離れて暮らしている。自立して生活できてはいるから当面これと言って心配もない。それはとてもありがたいことだが、それでも一応親のことは気に掛かる。今の住まいと実家とはそんなに離れてはいないけど、かといって実家入りびたりというのは親にしてみたら負担になるらしいので、近くに来てもあまり立ち寄らないようにしている。親の方から「たまには顔を見せに来なさい」とは言われなくなったけど、少しは顔を見せた方がいいのかななどと考える。年に1回くらいは立ち寄って、様子を見に行こうか。東京風のお盆しか知らない私の、ささやかな親孝行である。

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